ハード・ロハス

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おべんとうの時間

 ふつうの人たちの、ふつうのお弁当の写真集という異色の本である。
 取材先は、北海道から沖縄の離島まで全国各地、いろいろな職業の人たちの「お弁当」が出てくる。
 ひとつ(ひとり)の弁当に4ページ。計39個、というか39人。
 この39人の職業の多彩さが圧巻だ。
 集乳の運転手さんに始まり、帯広の「馬体重測定係」、房総の海女さん、手延べ素麺職人、指宿温泉の「砂かけさん」(そんな職業があるとは!)、猿まわし師、生保営業マン、高校生、自衛隊の航空整備士、有料トンネルの徴収員、南阿蘇鉄道の運転士・・職業を並べていくだけでも楽しい。
 最初のページは、まず職場をバックにして直立する人の写真。これが弁当の持ち主。
 隣のページにお弁当の写真。
 ページをめくると、小さめの写真で、お弁当を食べているところ。職場のどんなところで、どんなふうに食べているのかが分かる。トラックの運転席で食べる人、事務所の丸椅子にすわって棚にお弁当を載せて食べる人。
 そして次のページにその人のお弁当や職場の話。
 弁当を切り口にすれば、わずか1ページの中に、生活の歴史や、郷土性、職業そのものがにじみ出てくる。

おべんとうの時間

おべんとうの時間