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新艇「れもんいわし」号の進水式

 新艇「れもんいわし」号の進水式を山梨県市川三郷の四尾連湖で行なった。

 8月にテスト導入したインフレータブル・カヤック(空気でふくらますタイプ)での経験の結果、空気を入れるのが、なかなかたいへんであることと、形状のせいで進みが悪いことが欠点として分かった。エアー室のゴムがむきだしでパンクの心配もある。気室数が多いのでパンクしても沈没の心配はないが、空気圧が低くなってくると形状が維持できなくなり、ますます推進力が弱まり・・と、まあ値段が値段であるが、総じてカヤックというよりはゴムボートの上級版という印象だった。もちろん、子どもと水遊び+αで考えるなら、コンパクトだし、パドルも2本を含めた付属品もしっかりしていて、この値段と品質はわるくない。

DOPPELGANGER OUTDOOR(ドッペルギャンガーアウトドア) インフレータブルカヤック 2人乗り K-10

DOPPELGANGER OUTDOOR(ドッペルギャンガーアウトドア) インフレータブルカヤック 2人乗り K-10

 

 その後、このゴムボートのようなカヤックから得た経験をもとに新艇の検討をつづけ、有力候補としてあがったのがファルト(フォールディング)タイプのカヤック

 これはちょうどテントのようにアルミやグラスファイバーのフレームに防水布を張っていくタイプで、スリムな形状が格好よく、軽量である。

 一方、ひじょうに高価であることと、組み立てと撤収に時間がかかること、それに海で使用した場合のメンテナンスがかなりたいへんとのことであった。

 このタイプのなかでも、特に欲しいと思っていたのはフジタカヌーという国内老舗のものだが、たいがいが30万円以上する。初めての艇としては投資が大きいだけに不安も大きい。

 

 次に検討したのがハードシェルのもの。サーフボードをカヤックの形状にしたものといった感じで、浮力が大きいので海でのフィッシングでは主流となるタイプである。10万円前後でしっかりしたものが買えるのと、組み立てが不要なので気楽である。

 しかし集合住宅住まいでは、4m近いものを保管しておくのは厳しいし、そもそもエレベーターに入らない。クルマにもルーフトップに積載するための設備とテクニックが必要となる。最有力の選択肢でありながら、現状では不可能なタイプだとあきらめていたが、3分割できるものがあると知った。

 これならハイエースの荷室にもエレベーターにも入る。価格は15万円ほど。

 悩んだが、やはり使わないときの保管ストレスが大きく、クルマに積んでしまうと他のスペースがすべて犠牲にされてしまう。カヤックが旅の主目的ではないので悩んだ。

 

 ぐるりとめぐって、最初にもどった。やはり、インフレータブルである。

 

 欠点のうち、進むのが遅いという決定的なポイントを解決した艇があった。艇の先端部と後端部にのみアルミフレームを用い、ゴムの空気室を防水布で完全に覆ったエアフレームシリーズである。発売しているのは、なんとホームセンターのアウトドアコーナーでおなじみのキャプテンスタッグ。高級化路線に順調に歩みを進めているコールマンやロゴスを横目に、あいかわらず安物ばっかり出しているメーカーというイメージが強かったので、やや不安はあったが、インフレータブル・カヤックに対する細かいこだわりを知るうちに次第に納得を深めていった。それに、お試し感覚が許される、ぎりぎりの価格帯というのも魅力であった。

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キャプテンスタッグ(CAPTAIN STAG) エアフレーム13 コンバーチブルポンプ付 MC-1425

キャプテンスタッグ(CAPTAIN STAG) エアフレーム13 コンバーチブルポンプ付 MC-1425

 上記の構造によって、インフレータブルにしては先端がきりっとして形状が格好よく、艇の直進安定性に寄与するスケグも装備。パンクの心配のないフォームマットの床とあいまって、釣り人にはうれしいロッドホルダー。ゴムの空気室を完全に覆い尽くす防水生地の存在も心強い。

 最大の決め手は、インフレータブルのネガティブなイメージを覆す「展開と撤収の迅速さ」。あるブログに10分程度と書いてあり、これだ! と思った。

 実際、10分でいけた。付属のポンプが優秀なこともあるが、やはりバルブの性能のおかげだろう。逆流がないので、大型にもかかわらず、わりとあっさりと膨らむ。説明書とにらめっこする必要もない。ただ空気を入れるだけ。じつに手軽であった。

 そのかわり重量はある。4m弱のうちの艇で20kgだ。海での使用も想定しているので、ほんとうのところは4.5mがほしかったが、そうすると重量が25kgになり、せっかくの手軽さが損なわれる。ひとり乗りなら10kg強という艇も2011年に新発売されたので、ちょい釣りに使うにはそのぐらいがバランスいいかも。

キャプテンスタッグ(CAPTAIN STAG) エアフレームスポーツカヤック グリーン MC-1427

キャプテンスタッグ(CAPTAIN STAG) エアフレームスポーツカヤック グリーン MC-1427

 

 漕ぎだした感じは、想像していたよりも軽々と進んだ。

 自分が湖面に浮んで風にすうっと流される葉っぱになった気分だ。

 フィッシングタイプのため、艇の長さがに対して横幅があり、進むことにおいては不利のはずだが、それでも力を入れずとも、すう〜っすう〜っ。

 僕は釣りに専念し、ほとんど娘が漕いでいた。進むからコントロールするのが楽しい、とのこと。

 

 パドルはマーシャスの230cmカーボン。

 

 勉強したてのロープワークで艇を桟橋に係留。

 

 フィッシングもじゅうぶん楽しめた。

 

 最後に動画。