トライアスロン大島の後日談が、家族からぽろぽろ出てくる。
「おとーさんったら、ゴールしたとき、ボロぞうきんみたいによれよれで」
「そんなよれよれだったか?」
日がたつほどにつらさを忘れて、もう少しやれたんではないかとか馬鹿なことを考えはじめるころである。
「よだれまでたらして」
「よだれはないでしょ」
「だらーって・・でも手で受けてあげたんだよ。もう愛おしいって感じがして」
「ほ、ほんとか、それ」
すごい話だ。まこと家族の再生の瞬間ではないか!
赤ちゃんのよだれをさわっても何とも思わないのと同じ感覚だったそうだ。もちろん、ふだんなら、よだれなぞ垂らそうものなら、バイキン扱い必定である。
こう考えてくると、男がボロ雑巾のようになると、女の母性本能をくすぐるようである。
ただし、ただ単にボロ雑巾のような男は、女の忌避反応を招くのみである。
違いに注意されたし。