年に１、２回、アオリイカにまじってモンゴウイカが釣れる。
地元ではスミイカと呼ばれているイカで、名前のとおりとにかくスミの量としつこさが半端じゃないので、小舟乗りのわれわれにとってみれば、どちらかというと厄介者。
とあるところで、イカスミスパゲティーの本場ヴェネツィアで使われているイカは、このモンゴウイカだと聞いて、さっそくモンゴウイカ狙いで海に出たら本当に釣れた。ただの偶然だけど。
今回はスミが主役なので、スミを大量に吐かれないうちに生き締めしようとしたら、ぶしゃーっとやられた。カヤックも魚探も釣り道具もカッパも、メガネまでスミだらけ・・。しかもこれが濃厚で、ぬるぬるしつこい。
しかし料理をしてみると、濃厚なモンゴウイカのスミは、トマトもワインもタマネギもみるみる漆黒に染めて頼もしい。ヴェネツィアのイカスミスパゲティーは調味料は基本は塩だけ。ほんとうにイカスミパワーのシンプルな料理。
高校生の娘にとっては人生初のイカスミスパゲティー。そういえば自分も学生時代に恐いもの見たさでメニューにあったイカスミスパゲティーをこわごわ注文したことを思いだした。
翌朝、漁の師匠からメール。
「スミイカは目を合わせると、やられるよ」
ほ、ほんとですか・・。確かに目を合わせちゃったかも。
