ハード・ロハス

スロウライフ・スピードスタイル

おわら風の盆の地へ!

 ハスの茎から抽出した疣痔特効薬レンシンと、医者に処方してもらった水虫薬アトラントをトラジションバッグに詰めこんで、金曜日夜、チャリ3機を搭載したトランスポーターで小田原を出立。

 めざすのは、おわら風の盆で有名な富山県八尾。直木賞受賞作の『風の盆恋歌』を読んで以来、行ってみたかった土地である。この風光明媚な地でトライアスロン大会があると知ったのが2ヶ月前。憧れだけで、ほとんど何も考えずにワイフと自分の二人分で申し込んだ。

 いったん都内に寄り、仕事を終えたワイフをピックアップ。

 関越道をめざしたが、練馬入口が警官に閉鎖されていた。事故で練馬〜川越間が通行止め。復旧の見通しなし。

 1時間ぐらい煙草を吸ったりして開通を待っていたが、だんだん渋滞が積もり積もってきたので、脱出できなくなる前に美女木PAを抜けだした。

 国道で迂回して行ったら、川越インターに入れたのが午前零時過ぎ。渋滞つづきで、すでに疲れた。

 上信越道の東部湯の丸サービスエリアで車中泊。遠征つづきで、いわゆるレース貧乏。

 高速代をケチって湯の丸で降りたので2600円で済んでガッツポーズをしたが、その後は松本市街地、上高地、高山、飛騨峡を経由して、やっと富山入りしたのが午前10時。

 宿泊代をも節約しようとキャンプ場を探しまわるが、どこもログハウスは予約が埋まっている。テントも持ってきているが、富山は間欠的に激しい雨。翌日のトライアスロンレースは、午前6時集合なので、雨の中をキャンプ撤収などしていたら、もうそれだけでボロボロは必至。

 大会会場でレースエントリーの手続きを済ませ、川べりのランコースをワイフと軽く試走。建物の雰囲気など、じつに情緒がある。

 が、問題はチャリのコース。たった20キロのスプリント・ディスタンス(短距離レース)なのに、平坦路がほぼ皆無! のぼっているか、下っているかのどちらか。しかも勾配もきつく、ひと息つける踊り場もなし。路面にタールがみみずのように這っている箇所が多く、雨中のダウンヒルは命とり。

 コース図にトンネル2つと谷をまたぐ大きな橋(※写真)がひとつあるのだから、かなり厳しい山岳コースと事前に看破すべきであった。クルマで下見しただけで「ありえねーこれー」と最初から最後まで叫びまくり、当初はチャリで試走するつもりでのぞんだが、起点にもどったときは、すでにげんなりし、

「あれ? おとーさん、走らないの?」

「はい、もう、ごちそうさま」

 この日はけっきょく大会会場から10キロほど牛岳をのぼったとこにある公営の健康センターに投宿。食堂はあったが、食事なしの素泊り。だが、ここしばらく家では寝袋で生活しているので、ふとんの感触はひさびさであり、よく眠れた。