ハード・ロハス

スロウライフ・スピードスタイル

面倒くさがり

 最近気づいたのだが、私はものすごく面倒くさがりである。
 37年近くもそのことに気づかなかったのは、面倒くさいという定義が、世間様とややズレていたためである。
 例えば、こうだ。
 市井の主婦の言うところによれば、歩いて5分で行けるスーパーでも、面倒くさいからクルマで行くそうである。これが、おそらく世間の面倒くさいという言葉の使い方である。
 これが私は、クルマを出すのが面倒くさい、渋滞はとんでもなく面倒くさい、駐車場に停めるのはすごく苦手で面倒くさい、という微妙な面倒くさズレがあって、それならチャリで行こうということになるのである。
 しかし、チャリに乗ると、雨が降ると面倒くさい、信号が面倒くさい、冬は寒くて面倒くさい、クルマに轢かれそうになって面倒くさい、となって、自分の足でランニングする方が気楽になってくる。これが最近はエスカレートして、片道10キロぐらいまでならチャリよりも足で走る方が面倒くさくない、50キロぐらいまでならクルマよりチャリの方が面倒くさくない、これがまただんだんとスパイラルしていき、行く末はフェリーに乗るのが面倒くさいといって青函海峡を泳いで渡るようになるのである。
 なんといっても今は、釣り、である。
 釣りに行くとき、もっとも面倒くさいのはクルマで行かねばならないこと。チャリで箱根越えて釣りをして、また箱根越えして帰ってくるという、鍛練指向にはこたえられない立地に居をかまえながら、なぜにわざわざクルマごときに乗らねばならないのかと自問自答するのだが、冬の釣りは滅法寒いので詮なし。
 しかしこれも季節が解決してくれる。
 夏になれば、フライロッドを突っ込んだマラニックバック(マラソン用に開発されたディパック)を背負い、水陸両用のトライアスロン用ウェアで山岳チャリ登坂、登山道ランニングを経て、渓流をクロールで遡上し、みごと源流の尺イワナを仕留めるわが姿をほくほくと夢想し、そうか、トライアスロンはまさに釣りのために存在するのだと気づき、2007年からはチャリ、ラン、スウィム関連と釣り全般をひとつにカテゴライズして「フライアスロン」と提言するに至ったわけである。