ハード・ロハス

スロウライフ・スピードスタイル

一碧湖でトローリング。ただし人力。しかも小学生。

 伊豆半島唯一の天然湖という一碧湖。
 湖面に浮かぶ8つの小島が紅葉に染まりはじめた10月も最後の週末、一家で釣行。(ワイフは湖畔でもっぱら昼寝と読書だが)
 娘とふたり、小さな手漕ぎボートに9時間。
 ふたりの釣果。
 オイカワ2匹。
 ブールギル23匹。
 以上、餌釣り。
 バスはアタリひとつないのでポイント攻略を放擲。娘にオールを漕がせ、僕はボート後部でゲイリーヤマモトを流してトローリング。通りすがり、ボートに乗った何人ものバサーたちが、あいつ阿呆かという目で見ていく。いい年した男が小学生にボートを漕がせてトローリングなんぞしていたら、僕だってそう思う。
 が、なーんにもない湖のどまんなかで、いきなり根がかり。
「おーい、ストップストップ。なんか、ひっかかってもたー。バックバック!」
 娘に指示をだすが、糸がなんか妙になまなましくびくびく動き、リールが逆転して、ちりちりちり、と糸が出ていく。
 な、なんじゃあと思ったら、どかーんと緑の魚体が水面にジャンプ。
「今のなに?」
「バスみたい。見えた」
「うそ。ほんと?」
 ほんとだ。何年ぶりのバスか。
 途中、船の真下に逃げ込まれ、竿を守ろうとしたら、リールトラブル。巻き取りができなくなり、弱らせてから最後はタオルを巻いた手で糸を引いた。42センチ。
 9時間もボート上にいたが、あっという間。
 しかし家に帰っても、体が右に左にローリングしている。三半規管がおかしくなってしまったらしい。
 おまけにひどく腰が痛い。奴隷船より狭い手漕ぎボートに9時間、ほとんど姿勢を変えられず、ちぢこまるようにすわりっぱなしだったのだからしかたない。
 明日は早朝から富士スピードウェイでチャリ200キロ耐久レースである。前日に、なにやってんだか。